国内格付

国内信用格付

フィッチでは、外貨建て/自国通貨建てソブリン格付が「AAA」未満の国について、需要が認められる場合、国内格付を提供する。なお、国内格付では、国ごとに固有の尺度が用いられており、当該国の市場のニーズに応えるように定義されている点にご留意いただきたい。

国内格付尺度は、当該国内のみにおける格付対象先の信用力に関する相対的尺度である。この格付尺度上、当該国内で相対的リスクが最も低い場合に「AAA」長期国内信用格付が付与され、例外はあるものの、通常は当該国のリスクに相当する。

国内格付尺度は、同一国内で最も低いデフォルト・リスクとの対比で認められるリスクの程度を序列化しているに過ぎない。自国通貨建て格付同様、国内格付では、ソブリン及び送金リスクの影響を考慮せず、また投資家が、期日が到来した元利金を国外に送金できない可能性も除外している。国内格付尺度は、当該国以外の国内市場における格付尺度とは関連していない。それゆえ、異なる国内尺度間の比較又は個々の国内尺度と国際格付尺度の比較は、不適切であり、誤解を招く虞がある。そのため、例えば、アルゼンチンの国内格付ならば「AAA(arg)」のように、当該国の国名コードの付与により、国内格付は識別される。

一部の国では規制当局が、固有の符号を用いて、国内市場向けの信用格付尺度を制定している。これらの国においては、国内格付の定義に代わり、規制上の尺度が用いられる場合がある。例えば、フィッチの短期国内格付である「F1+(xxx)」、「F1(xxx)」、「F2(xxx)」及び「F3(xxx)」に代わり、「A1+」、「A1」、「A2」及び「A3」といった規制上の尺度が用いられる場合がある。そのため、以下の定義は雛形にすぎず、各国における個別格付尺度については、フィッチのウェブサイトを参照の上、追加的又は代替的な分類定義が適用されるか否かを確認されたい。

  

国内格付尺度に関する制約

 

国内格付尺度に関する特定の制約には、以下の点が含まれる。

  • 国内尺度による格付は、選択された国においてのみ、利用可能である。
  • 国内尺度による格付は、同一国内における他の国内格付とのみ直接比較可能である。国内格付と国際格付との間には相関関係があるものの、両格付間で厳密な置換は存在しない。国内尺度による特定の格付に関連するデフォルト確率は、時間の経過とともに変化することが想定される。
  • 国内格付に関するデフォルト・スタディの価値は限定され得る。国内尺度の相対的な性質により、国内尺度による一定の格付は、長期間における一定量のデフォルト・リスクを示すものではない。そのため、国内格付のみを用いたデフォルト・スタディは、過去の格付とデフォルト・リスクとの関係を正確に示すものとはならない可能性がある。利用者が、過去のデフォルト実績を国際格付並びに国内及び国際格付のマッピング表とともに用いることによって、国内尺度による格付に対する将来のデフォルト確率を推定しようとする場合には、注意を要する。いかなる尺度を用いた格付でも同様であるが、将来は必ずしも過去に従うとは限らない。
  • フィッチでは、国内尺度によるデフォルト確率に関する結論に対する信頼度が、国際信用格付の場合ほど高くないと考えている。実際のデフォルト実績が、含意されたデフォルト確率と整合的であることを示した、国内尺度による格付対象先におけるデフォルト履歴に関する包括的なグローバル・スタディはない。これは、新興市場における格付の歴史が比較的短いこと及び国内尺度の制約された相対的性質によるものである。 

 

上記の諸点は、網羅的なものではなく、読者の便宜上列挙されているものである。フィッチの格付に関する制約のより詳細な情報については、冒頭セクション「信用格付を理解する - 利用と制約」をご覧いただきたい。

 

国内長期信用格付

 

AAA(xxx)

当該国の国内格付尺度において、最も高い格付。当該国内におけるその他全ての発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが最も低いと予想される発行体又は債務。

 

AA(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが非常に低いと予想される発行体又は債務。内在するデフォルト・リスクは、当該国内の最高位の格付を付与されている発行体又は債務と比べ僅差に留まる。

 

A(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが低いと予想される発行体又は債務。しかし、状況又は経済環境の変化が債務を遅滞なく履行する能力に及ぼす影響の度合いは、上位格付の場合よりも大きくなり得る。

 

BBB(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが中位と予想される発行体又は債務。しかし、状況又は経済環境の変化が債務を遅滞なく履行する能力に影響を及ぼす可能性が、上位格付の場合よりも高い。

 

BB(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが高いと予想される発行体又は債務。当該国内の枠組みにおいて、支払にはある程度の不確実性が伴い、債務を遅滞なく履行する能力は上位格付に比べて時間の経過と共に経済環境が悪化した場合の影響を受けやすい。

 

B(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、デフォルト・リスクが著しく高いと予想される発行体又は債務。現在債務の支払は履行されているものの、その安全性は限定的に残っている。継続して債務を遅滞無く履行するには、良好な経営・経済環境が持続することが必要である。個々の債務の場合、ディストレスト(債務不履行直前)又は不履行となった債務であっても、回収見込みが極めて高い状態も表す。

 

CCC(xxx)

デフォルトの可能性が現実味を帯びている。債務履行能力は、良好な経営・経済環境の持続に全面的に依存する。

 

CC(xxx)

ある種のデフォルトが見込まれる。

 

C(xxx)

デフォルトが差し迫っている。

 

RD(xxx): 一部債務不履行(Restricted default)
「RD」格付は、フィッチの見解において、債券、ローン、その他重要な金銭債務に関し支払不履行が治癒されていない一方、破産申立て、会社管理、管財人の任命、清算その他の清算型倒産手続が開始しておらず、かつ事業停止には至っていない発行体を示す。この状況としては、以下の点が含まれる。

 

a. 特定のクラス又は通貨の債務における選択的な支払不履行
b. 銀行融資、資本市場証券その他の重要な金銭債務にかかる支払不履行に続き、一定の支払猶予期間、治癒期間又は権利行使猶予期間の徒過後も債務不履行が治癒されないこと
c. 1件以上の重要な金銭債務が、連続して、又は、同時に支払不履行となった際の複数回に及ぶ権利放棄又は権利行使猶予期間の延長
d. 1件以上の重要な金銭債務についてディストレスト債務交換の実施

 

D(xxx)

発行体又は債務が現在デフォルト状態にある。

 

国内短期信用格付

 

F1(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、期日どおりの債務履行能力が最も高い。フィッチの国内格付尺度上、当該国内におけるその他全ての発行体又は債務と比較しデフォルト・リスクが最も低い。とりわけ流動性が高い場合には、「F1+」が付与される。

 

F2(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、期日どおりの債務履行能力が良好である。しかし、その確実性は、上位格付の場合より劣る。

 

F3(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、期日どおりの債務履行能力が概ね十分に認められる。しかし、目先の悪変化に対する債務履行能力の脆弱性は、上位格付の場合より高い。

 

B(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、期日どおりの債務履行能力は不確実である。目先の財務・経済の悪化に対する債務履行能力の脆弱性は、著しく高い。

 

C(xxx)

当該国内におけるその他の発行体又は債務と比較し、期日どおりの債務履行能力は著しく不確実である。債務履行能力は、良好な経営・経済環境の持続に全面的に依存する。

 

RD(xxx):一部債務不履行(Restricted default)
1件以上の債務が不履行であるが他の債務の履行が継続していることを示す。発行体格付にのみ適用される。  

 

D (xxx)

実際にデフォルト状態にある、又は、デフォルトが差し迫っている。

 

長期・短期国内格付の注:

格付符号に続く括弧内に国際標準化機構(ISO)の国名コードを記すことにより、格付が適用される市場が表される。上記の説明では便宜上、(xxx)と示されている。

主要な格付カテゴリー内における相対的な位置付けを示すために「+」又は「-」の符号が付される場合がある。ただし、「AAA(xxx)」又は 「CCC(xxx)」未満の長期国内格付並びに「F1(xxx)」を除く短期国内格付にこれらの符号は付されない。

 

国内保険会社財務格付

 

国内IFS格付は当該国の国内保険市場のニーズに応えるものである。同格付は保険契約者債務にかかる保険会社の支払能力に対して付与され、保険会社の相対的な財務力評価を表している。フィッチが付与する他の形態の国内格付と同様、国内IFS格付は、契約者債務やその他の関連債務に対する保険会社の支払能力を評価するものであり、フィッチの他の国内格付と同様、業界及び債務の種類全体を通して、当該国内の債務の中で最も信用力の高いものとの比較により評価される。よって、他国の国内IFS格付又は当該国の国際IFS格付と比較されるべきものではない。国内保険会社財務格付は、以下のとおり、長期尺度のみを用いて付与される。

 

AAA(xxx)

当該国における最高位の国内IFS格付である。この評価は、業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体との比較によってなされたものであり、保険会社の契約者債務に対する支払能力が最高の評価を受けたときに付与される。

 

AA(xxx)

業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体と比較して、契約者債務に対する支払能力が非常に高いことを示す。支払が中断・停止されるリスクは、同一国内で最高位の格付を付与された証券・発行体のそれと比べ僅差に止まる。

 

A(xxx)

業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体と比較して、契約者債務に対する支払能力は高い。しかしながら、事業環境・経済情勢の変化が、支払履行能力に悪影響を与える可能性は上位格付の場合よりも高い。

 

BBB(xxx)

業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体と比較して、契約者債務に対する支払能力が概ね十分に認められる。しかしながら、事業環境・経済情勢の変化が、支払履行能力に悪影響を与える可能性は上位格付の場合よりも高い。

 

BB(xxx)

業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体と比較して、契約者債務に対する支払能力がかなり低い。当該国内の枠組みにおいて、契約者債務の履行にはある程度不確実性が伴い、支払能力は上位格付に比べて時間の経過と共に経済環境が悪化した場合の影響を受けやすい。

 

B(xxx)

「B」の国内IFS格付は、以下の二通りの状況に適用される。債務が遅滞なく履行されている場合、業界及び債務の種類全体を通して、当該国における他の全ての債務・発行体と比較して、契約者債務の履行継続能力が著しく低い。支払能力は限定され、当該会社が債務履行を継続するには、良好な経営・経済環境の持続が必要である。一方、支払が中断・停止している場合、極めて高い回収率が想定される債務に対して「B」の国内IFS格付が付与される。

 

CCC(xxx)

「CCC」の国内IFS格付は、以下の二通りの状況に適用される。債務が遅滞なく履行されている場合には、将来、支払の中断・停止が実際に起こる可能性が現実味を帯びていることを示す。当該保険会社が支払を継続するためには、良好な経営・経済環境が持続することが必要である。一方、支払が中断・停止している場合、非常に高い回収率が想定される債務に対して「CCC」の国内IFS格付が付与される。

 

CC(xxx)

「CC」の国内IFS格付は、以下の二通りの状況に適用される。債務が遅滞なく履行されている場合には、支払の中断・停止が予想されることを示す。一方、支払が中断・停止されている場合には、平均ないし平均未満の回収率が想定される債務に対して「CC」の国内IFS格付が付与される。

 

C(xxx)

「C」の国内IFS格付は、以下の二通りの状況に適用される。債務が遅滞なく履行されている場合には、支払の中断・停止が間近であることを示す。一方、支払が中断・停止されている場合には、平均未満ないし低い回収率が想定される債務に対して「C」の国内IFS格付が付与される。

 

注:

同一格付の中での相対的な位置付けを示すため、「+」又は「-」の符号を付けることがある。ただし、「AAA」又は「CCC」未満の格付にはこれらの符号は付されない。

格付記号に続く括弧内に国際標準化機構(ISO)の国名コードを記すことにより、格付が適用される市場を表している。上記の説明では便宜上、(xxx)と示されている。

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