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発行体・信用力に関する国際格付の尺度

基本的な信用格付尺度(格付符号「AAA」~「D」及び「F1」~「D」で示される)は、債務及び財務力の格付に用いられる。本節では、こうした尺度が、企業金融、パブリック・ファイナンス及びストラクチャード・ファイナンスの各債務市場において、発行体及び債務に対してどのように用いられるかについて説明する。なお、ファンドに関する格付における用法については、「ファンド格付」のセクションを参照いただきたい。

 

長期格付尺度

発行体信用格付尺度

金融機関、非金融会社、ソブリン、保険会社等、各セクターの格付対象の発行体には、通常、発行体デフォルト格付(IDR)が付与される。IDRは、格付対象先が債務不履行に陥る相対的蓋然性に関する意見である。IDRにおけるデフォルト・リスク検討の基準点は、その不払いが当該発行体が未治癒の破綻状態にあることを最もよく表すであろう金銭債務がデフォルトするリスクである。その意味で、IDRは、清算型又は再建型倒産手続等を含む何らかの倒産手続が開始される相対的蓋然性も示している。ただし、発行体が、かかる手続を先行して自発的に用いる場合があることも、フィッチは認識している。

IDRは、特定のデフォルト確率を予測するものではなく、発行体がデフォルトする相対的蓋然性に関するフィッチの見解に基づき、発行体の序列を示すものである。フィッチが格付を付与した発行体に関するデフォルト実績については、フィッチのウェブサイトにて閲覧可能な格付遷移及びデフォルト実績に関するレポートをご覧いただきたい。
 

AAA: 最も高い信用力

デフォルト・リスクが最も低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が極めて高い場合に付与される。予見し得る事由がこの能力に悪影響を与える可能性は、非常に低いと考えられる。

 

AA: 非常に高い信用力

デフォルト・リスクが非常に低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が非常に高いことを示している。この能力が予見し得る事由によって著しく損なわれることはないと考えられる。

 

A: 高い信用力

デフォルト・リスクが低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は高いと想定されるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力に及ぼす影響は、上位格付の場合より大きくなり得る。

 

BBB: 良好な信用力

デフォルト・リスクが現在は低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。

 

BB: 投機的

特に経営又は経済環境が時間の経過と共に悪化した場合、デフォルト・リスクに対する脆弱性が高まることを示す。ただし、債務履行を支える経営又は財務の柔軟性は認められる。

 

B: 非常に投機的

重大なデフォルト・リスクが存在するものの、債務履行に関する安全性が限定的ながら残っていることを示す。現時点では、金銭債務が履行されているものの、継続的履行能力は、経営・経済環境の悪化に対し脆弱である。

 

CCC: 相当重大な信用リスク

デフォルトが、現実の可能性として認められる。

 

CC: 非常に高い水準の信用リスク

一定のデフォルトが起こる蓋然性が高い。

 

C: 極めて高い水準の信用リスク

デフォルトが差し迫っている、若しくは、不可避である、又は、発行体による債務返済が一時停止状態にある。発行体について「C」カテゴリーの格付とされる条件としては、以下の点が含まれる。

 

a. 発行体に関し、その重要な金銭債務につき支払不履行が発生し、支払猶予期間又は治癒期間に入ったこと
b. 発行体に関し、その重要な金銭債務につき支払不履行が発生し、一時的な権利放棄や権利行使停止に関する合意に至ったこと
c. ディストレスト債務交換(Distressed Debt Exchange)の正式発表などを通じ、「RD」(一部債務不履行)又は「D」(債務不履行)が差し迫っている、又は、不可避であるとフィッチが判断する場合

 

RD: 一部債務不履行(Restricted default)

「RD」格付は、フィッチの見解において、債券、ローン、その他重要な金銭債務に関し支払不履行が治癒されていない一方、破産申立て、会社管理、管財人の任命、清算その他の清算型倒産手続が開始しておらず、かつ事業停止には至っていない発行体を示す。この状況としては、以下の点が含まれる。

 

a. 特定のクラス又は通貨の債務における選択的な支払不履行
b. 銀行融資、資本市場証券その他の重要な金銭債務にかかる支払不履行に続き、一定の支払猶予期間、治癒期間又は権利行使猶予期間の徒過後も債務不履行が治癒されないこと
c. 1件以上の重要な金銭債務が、連続して、又は、同時に支払不履行となった際の複数回に及ぶ権利放棄又は権利行使猶予期間の延長
d. 1件以上の重要な金銭債務についてディストレスト債務交換の実施

 

D: 債務不履行

「D」格付は、フィッチの見解において、破産申立て、会社管理、管財人の任命、清算その他の形態による清算型倒産手続に入った、又は、事業停止となった発行体を示す。

デフォルト格付は、将来を視野に入れて法主体又はその債務に対し付与されるものではなく、繰延条項又は支払猶予期間が付いている債務の未払いは、通常、繰延期間又は猶予期間が満了するまで、デフォルトとはみなされない。ただし、破産等又はディストレスト債務交換によるデフォルトについてはこの限りではない。

「差し迫った」デフォルトとは、通常、支払不履行が生じる旨が発行体により公表され、ほぼ不可避である場合を示している。例えば、これは、発行体が期日返済を怠ったものの、支払不履行の治癒が可能な猶予期間を有する場合などを示している。また、発行体がディストレスト債務交換を正式に発表したものの、交換期日が数日又は数週間先の場合なども含まれる。

いずれの場合もデフォルト格付の付与は、他の格付と一貫性のある最も適切な格付カテゴリーについてのフィッチの見解を反映するものであり、発行体の債務の条件又は当該国の商慣習におけるデフォルトの定義とは異なる場合がある。

注:

主要な格付カテゴリーにおける相対的な位置を示すために「+」又は「-」の符号を付すことがある。ただし、「AAA」又は 「B」未満の長期発行体デフォルト格付にはこれらの符号を付さない。

 

発行体信用格付尺度に関する制約

 

発行体信用格付尺度に関連する特定の制約には、以下の点が含まれる。

  • 格付は、期間を問わず、債務不履行の蓋然性に関する特定の確率を予測するものではない。
  • 格付は、いかなる発行体の証券若しくは株式の市場価格又は価格変動の蓋然性についても、これらに関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体の証券又は株式の流動性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、債務不履行時に想定され得る債務の損失度に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、商取引の相手方としての発行体の適合性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体が債務不履行に陥る相対的蓋然性についてのフィッチの見解を示す以外、発行体の事業、経営又は財務特性に関連するいかなる質についても見解を示すものではない。

 

フィッチが付与する格付は、リスクに関する個別かつ特定の分野についての見解を示すものである。上記の諸点は、網羅的なものではなく、読者の便宜上列挙されているものである。フィッチの格付に関する制約のより詳細な情報については、冒頭セクション「信用格付を理解する - 利用と制約」をご覧いただきたい。

 

 

企業の金融債務 - 長期格付尺度

 

企業である発行体の個別の証券又は金銭債務の格付は、債務不履行に陥る相対的な蓋然性を、序列を表す尺度により示すものである。さらに、コーポレート・ファイナンスにおける金銭債務においては、当該債務のデフォルト時回収見込みの評価も格付評価に含まれる。このことは、デフォルトの蓋然性及びデフォルト時における当該債務証券の回収の見通しの双方を含んだカバード・ボンド格付において特に当てはまる。

発行体に関する尺度と債務に関する尺度の関係では、発行体の無担保優先債務に対する過去の平均回収率を30%ないし50%と想定している。その結果、企業などの発行体が発行する個々の債務に対して付与される格付は、その発行体の発行体格付すなわちIDRより高くなる場合、低くなる場合又は同等となる場合がある。現在、低位の格付レベルでは、フィッチは、発行体及び債券の格付を補足する目的で、多くの場合明示的な回収率格付を追加的に発表している。

 

AAA: 最も高い信用力

信用リスクが最も低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が極めて高い場合に付与される。予見し得る事由がこの能力に悪影響を与える可能性は、非常に低いと考えられる。

 

AA: 非常に高い信用力

信用リスクが非常に低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が非常に高いことを示している。この能力が予見し得る事由により著しく損なわれることはないと考えられる。

 

A: 高い信用力

信用リスクが低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は高いと想定されるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力に及ぼす影響は、上位格付の場合より大きくなり得る。

 

BBB: 良好な信用力

信用リスクが現在は低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。

 

BB: 投機的

特に経営又は経済環境が時間の経過と共に悪化した場合、信用リスクに対する脆弱性が高まることを示す。ただし、金銭債務の履行に必要な経営又は財務上の代替手段が利用可能な場合もある。

 

B: 非常に投機的

重大な信用リスクが現実に存在することを示す†.

 

CCC: 相当重大な信用リスク

相当重大な信用リスクが存在することを示す†.

 

CC: 非常に高い水準の信用リスク

非常に高い信用リスクを示す†.

 

C: 極めて高い水準の信用リスク

極めて高い信用リスクを示す†.

 

デフォルトした債務には、通常、「D」の格付が付与されず、回収見通し及びその他の特性に応じて、「B」カテゴリーから「C」カテゴリーの範囲内で格付が付与される。こうしたアプローチにより、全般的な想定損失は類似しているもののデフォルト及び損失に対する脆弱性が異なる債務を、より適正に序列化できる。

 

注:

主要な格付において相対的な位置付けを示すために「+」又は「-」の符号を付すことがある。ただし、「AAA」債務格付又は 「B」未満の企業金融債務格付にはこれらの符号を付さない。

 

下付き記号「emr」は、格付の対象範囲外である市場リスクが内包されていることを示すために格付に対して付加される。かかる記号の付加は、当該格付が発行銀行のカウンターパーティ・リスクのみを対象としていることを明確化することを意図している。これは、発行体である金融機関の分析のために、公表されたフィッチの格付基準に他のあらゆる面で従うカウンターパーティ・リスク分析における限界を示すことを意図したものではない。フィッチは、水準を問わず元本が市場リスクにさらされるこの種の金融商品に対して、格付を付与しない。 

 

† 低位の非投資適格レベルにおける企業の金融債務の履行・未履行の関係(回収率格付については、「回収率格付」のセクションに記載)


債務格付履行されている債務履行されていない債務
「B」
カテゴリー
デフォルト・リスクは、「BB」から「C」格付の範囲のIDRと同等である。
  • IDRが「B」未満の発行体では、債務不履行が発生した場合の予想回収率水準が、債務の総合的な信用リスクを緩和している。
  • IDRが「B」より高い発行体では、債務不履行が発生した場合の低い予想回収率が、債務の総合的な信用リスクを悪化させている。
債務若しくは発行体が債務不履行状態である、又は、支払繰延があるものの、格付対象債務には回収率格付「RR1」と一致する極めて高い回収率が予想される。
「CCC」
カテゴリー
デフォルト・リスクは「B」から「C」格付の範囲のIDRと同等である。
  • IDRが「CCC」未満の発行体では、債務不履行が発生した場合の予想回収率水準が、債務の総合的な信用リスクを緩和している。
  • IDRが「CCC」より高い発行体では、債務不履行が発生した場合の低い予想回収率が、債務の総合的な信用リスクを悪化させている。
債務若しくは発行体が債務不履行状態である、又は、支払繰延があるものの、格付対象債務には回収率格付「RR2」と一致する優れた回収率が予想される。
「CC」
カテゴリー
デフォルト・リスクは「B」から「C」格付の範囲のIDRと同等である。
  • IDRが「CC」未満の発行体では、債務不履行が発生した場合の予想回収率水準が、債務の総合的な信用リスクを緩和している。
  • IDRが「CC」より高い発行体では、債務不履行が発生した場合の低い予想回収率が、債務の総合的な信用リスクを悪化させている。
債務若しくは発行体が債務不履行状態である、又は、支払繰延があるものの、格付対象債務には回収率格付「RR3」と一致する良好な回収率が予想される。
「C」
カテゴリー
デフォルト・リスクは「B」から「C」格付の範囲のIDRと同等である。
債務不履行が発生した場合の低い予想回収率が、債務の総合的な信用リスクを悪化させている。
債務若しくは発行体が債務不履行状態、又は、支払繰延があり、格付対象債務には回収率格付「RR4」、「RR5」又は「RR6」と一致する平均以下、又は、低い回収率が予想される。

 

 

 

コーポレート・ファイナンス債務の格付尺度に関する制約

 

企業の金融債務の格付尺度に関する特定の制約には、以下の点が含まれる。

  • 格付は、期間を問わず、債務不履行の蓋然性又は予想損失に関する特定の確率を予測するものではない。
  • 格付は、いかなる発行体の証券若しくは株式の市場価格又は価格変動の蓋然性についても、これらに関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体の証券又は株式の流動性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、商取引上の与信相手方としての発行体の適合性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体が債務不履行に陥る相対的蓋然性及び債務不履行時の相対的な回収に対するフィッチの見解を示す以外、発行体の事業、経営又は財務特性に関連するいかなる質についても見解を示すものではない。

 

とりわけ、回収率格付は、発行体又は案件に係わる金銭債権と支払履行のための潜在的な資金源の間の関係についての基本的な分析を反映している。かかる資金源及び債権の規模は、フィッチによる分析対象外の様々な動的要因に左右され、そうした要因が実際の回収率に影響を及ぼすことになる。

 

フィッチが付与する格付は、リスクに関する個別かつ特定の分野についての見解を示すものである。上記の諸点は、網羅的なものではなく、読者の便宜上列挙されているものである。フィッチの格付に関する制約のより詳細な情報については、冒頭セクション「信用格付を理解する - 利用と制約」をご覧いただきたい。

 

 

ストラクチャード、プロジェクト及びパブリック・ファイナンス債務 - 長期格付尺度

 

長期尺度に基づくストラクチャード・ファイナンス債務、プロジェクト・ファイナンス債務及びパブリック・ファイナンス債務(ソブリン債務を含む)の格付では、当該債務が不履行に陥る相対的な蓋然性が検討される。これらの格付は、通常、発行体ではなく、個々の証券又はリスクの異なる部位(トランシェ)に対して付与される。

 

AAA: 最も高い信用力

デフォルト・リスクが最も低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が極めて高い場合に付与される。予見し得る事由がこの能力に悪影響を与える可能性は、非常に低いと考えられる。

 

AA: 非常に高い信用力

デフォルト・リスクが非常に低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力が非常に高いことを示している。この能力が予見し得る事由によって著しく損なわれることはないと考えられる。

 

A: 高い信用力

デフォルト・リスクが低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は高いと想定されるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力に及ぼす影響は、上位格付の場合より大きくなり得る。

 

BBB: 良好な信用力

デフォルト・リスクが現在は低いと予想していることを示す。金銭債務の履行能力は概ね十分にあると考えられるが、経営又は経済環境の悪化がこの能力を損なう可能性がより高い。

 

BB: 投機的

特に経営又は経済環境が時間の経過と共に悪化した場合、デフォルト・リスクに対する脆弱性が高まることを示す。

 

B: 非常に投機的

重大なデフォルト・リスクが存在するものの、債務履行に関する安全性が限定的ながら残っていることを示す。現時点では、金銭債務が履行されているものの、継続的履行能力は、経営及び経済環境の悪化に対し脆弱である。

 

CCC: 相当重大な信用リスク

債務不履行が、現実の可能性として認められる。

 

CC: 非常に高い水準の信用リスク

一定の債務不履行が起こる蓋然性が高い。

 

C:極めて高い水準の信用リスク

債務不履行が差し迫っている、又は、不可避である。

 

D: 債務不履行

債務不履行を示す。債務不履行とは、通常、次のうちいずれか一つに該当する場合と定義される。

 

  • 格付対象債務について、元本又は利息の支払に関する約定どおりの履行を怠ること
  • 債務者・発行体の破産申立て、会社管理、管財人の任命、清算その他の形態による清算型倒産手続又は事業停止
  • 想定される支払不履行を回避するために、既存条件と比較して構造的又は経済的条件が劣る証券が債権者に提示されるディストレスト債務交換

 

ストラクチャード・ファイナンス・デフォルト

「C」格付に分類される「差し迫った」デフォルトとは、通常、発行体により支払不履行が生じる旨が公表され、ほぼ不可避である場合を示している。また、発行体がディストレスト債務交換を正式に発表したものの、交換期日が数日又は数週間先の場合なども含まれる。

さらに、ストラクチャード・ファイナンス案件の場合、証券が回復の可能性無く毀損し、当該案件の残存期間中、約定どおりの元利金支払が全額履行される見通しがない場合、支払不履行が差し迫った状況ではない場合でも、通常は「C」カテゴリーの格付が付与される。
 

ストラクチャード・ファイナンスにおける元本毀損

当該証券が、非自発的にかつフィッチの見解において不可逆的に元本「毀損」となった場合(すなわち、投資家の損失となるもの)、当該証券には信用格付「D」が付与される。フィッチが、「毀損」が一時的なものにとどまり得ると信じる場合(そして、パフォーマンス改善時に、将来損失が再び減少する可能性がある場合)、通常は信用格付「C」が付与される。「毀損」が後に解消される場合、信用格付は、当該証券にとって適切な水準にまで引き上げられる。「毀損」が後に不可逆的と判断された場合、信用格付は「D」に引き下げられる。

 

注:

ストラクチャード・ファイナンス及びプロジェクト・ファイナンスにおいて、格付は、当該格付対象負債のデフォルト時損失を考慮してないが、裏付資産に対する損失度の想定は、通常、分析に含まれている。損失度の想定は、格付対象債務の支払に利用される資産プールのキャッシュ・フローを導き出すために用いられる。

付加記号「sf」は、債務がストラクチャード・ファイナンス案件であることを示している。フィッチがストラクチャード・ファイナンス格付をどのように決定しているかについての説明は、www.fitchratings.co.jp / www.fitchratings.com上の基準を参照されたい。

パブリック・ファイナンスにおいて、格付は当該負債のデフォルト時損失率を考慮しておらず、当該負債の債務不履行に対する脆弱性に焦点をあてている。

主要な格付カテゴリーにおける相対的な位置を示すために「+」又は「-」の符号を付けることがある。ただし、「AAA」又は 「B」未満の長期格付にはこれらの符号を付さない。

信用補完型設備信託証書(EETCs)は、航空会社が、主として航空機関連の資金調達のために用いるコーポレート債務とストラクチャード債務のハイブリッド証券である。同債券の複合的特性から、フィッチの格付手法には、ストラクチャード・ファイナンス及び事業会社の両格付手法の要素が含まれる。EETC格付は、ABSとして格付されるものの他のストラクチャード・ファイナンス格付とは異なり、「企業の金融債務 - 長期格付尺度」において説明した企業の金融債務に対する格付と同様に、デフォルト時における回収の度合いを含んでいる。

 

ストラクチャード、プロジェクト及びパブリック・ファイナンス債務の格付尺度に関する制約

 

ストラクチャード、プロジェクト及びパブリック・ファイナンス債務の格付尺度に関する特定の制約には、以下の点が含まれる。

  • 格付は、期間を問わず、債務不履行の蓋然性に関する特定の確率を予測するものではない。
  • 格付は、いかなる発行体の証券若しくは株式の市場価格又は価格変動の蓋然性についても、これらに関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体の証券又は株式の流動性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、債務不履行時に想定され得る債務の損失度に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、格付対象の各トランシェ又は証券が債務不履行に陥る相対的蓋然性についてのフィッチの見解を示す以外、トランシェ特性のいかなる質に関する見解も示すものではない。

 

フィッチが付与する格付は、リスクに関する個別かつ特定の分野についての見解を示すものである。上記の諸点は、網羅的なものではなく、読者の便宜上列挙されているものである。フィッチの格付に関する制約のより詳細な情報については、冒頭セクション「信用格付を理解する - 利用と制約」をご覧いただきたい。

 

短期格付

 

発行体又は企業の金融債務並びにパブリック及びストラクチャード・ファイナンス債務に付与される短期格付

 

短期発行体/債務格付は、格付対象の法主体又は証券が債務不履行に陥る短期的な蓋然性に基づいており、約定どおりの債務履行能力を示す。短期格付は、当初満期が市場慣行上「短期」と見做される債務に付与される。通常「短期」とは、企業金融債務並びにソブリン及びストラクチャード・ファイナンスの債務については13ヶ月までを意味し、米国のパブリック・ファイナンス市場の債務については36ヶ月までを意味する。

 

F1: 最も高い短期信用力

債務の期日どおりの支払に関する能力が最も高いことを示す。極めて高い信用力に対しては「+」符号が付される。

 

F2: 良好な短期信用力

債務の期日どおりの支払に関する能力が良好であることを示す。

 

F3: 中位の短期信用力

債務の期日どおりの支払に関する能力が概ね十分にあることを示す。

 

B: 投機的短期信用力

債務の期日どおりの最低限の支払能力はあるものの、金融及び経済環境の目先の悪化による影響を受けやすいことを示す。

 

C:高い短期デフォルト・リスク

デフォルトが現実の可能性として認められることを示す。

 

RD:一部債務不履行(Restricted default)

1件以上の債務が不履行であるが他の債務の履行が継続していることを示す。発行体格付にのみ適用される。

 

D: デフォルト

発行体の広範囲なデフォルト又は全ての短期債務のデフォルトを示す。

 

短期格付尺度の制約

 

短期格付尺度に関連する特定の制約には、以下の点が含まれる。

 

  • 格付は、期間を問わず、債務不履行の蓋然性につき特定の確率を予測するものではない。
  • 格付は、いかなる発行体の証券若しくは株式の市場価格又は価格変動の蓋然性についても、これらに関する見解を示すものではない。
  • 格付は、発行体の証券又は株式の流動性に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、債務不履行時に想定され得る債務の損失度に関する見解を示すものではない。
  • 格付は、格付対象の発行体又は債務が債務不履行に陥る相対的な蓋然性についてのフィッチの見解を示す以外、発行体又は案件の特性に関するいかなる質についても見解を示すものではない。

 

フィッチが付与する格付は、リスクに関する個別かつ特定の分野についての見解を示すものである。上記の諸点は、網羅的なものではなく、読者の便宜上列挙されているものである。フィッチの格付に関する制約のより詳細な情報については、冒頭セクション「信用格付を理解する - 利用と制約」をご覧いただきたい。

 

 

企業の金融債務及びパブリック・ファイナンスにおける短期格付及び長期格付の関係

 

フィッチの企業の金融債務格付及びパブリック・ファイナンス格付では、発行体の多くに、長期格付及び短期格付が付与される。これらの格付は、発行体、債務又はその両方に付与され得る。短期格付を決定づける個別要因は多数に及ぶ一方、短期格付と長期格付の間には通常一定の関係がある。これは、一つには長期的な信用力評価においても、流動性やその他の短期的な懸念事項が本質的に重要であるためである。さらに、一発行体についての2つの尺度が直観的に相互矛盾しないようにするものでもある。この関係は以下のとおりとなり、多くの場合ある程度非対称的である。すなわち、

 

  1. ほとんどの証券や発行体において、短期デフォルト・リスクが相対的に高いということは、短期間のうちにデフォルトの生じるリスクが高まっていることを示唆し、それは長期的なデフォルト評価からも切り離し得ない。しかし、
  2. 相対的に低い短期デフォルト・リスクは、おそらくは発行体の信用に一時的な支援を提供するような要因の存在によって、より高い中長期的デフォルト・リスクと共存する場合がある。

 

したがって対応表は、とりわけ低位の短期格付と高位の長期格付の組み合わせについての「常識的な」チェックの役割を果たす。他方の非対称性(高位の短期格付と低位の長期格付)については概念上で対応される。投資適格の短期格付は、内在的な、又は、維持可能な流動性の評価であり、これには、通常、上記b)に記された一時的又は持続不可能な支援は含まれない。

対照的に、非投資適格格付においては、流動性の一時的な改善や悪化の影響も含んだ今後13ヶ月間の発行体の実際の予想流動性特性に、より大きな力点が置かれる。

下表は一つの目安であり、個々の格付グループの用いる基準に従い分析上妥当である場合は、この対応表との差異が生じることがある。

詳細については、「Short-Term Ratings Criteria for Corporate Finance」及び「Rating Municipal Short-term Debt」をご参照いただきたい。


 

 格付対応表

 

長期格付短期格付
AAAF1+
AA+F1+
AAF1+
AA-F1+
A+F1 又は F1+
AF1
A-F2 又は F1
BBB+F2
BBBF3 又は F2
BBB-F3
BB+B
BBB
BB-B
B+B
BB
B-B
CCCC
CCC
CC
RD/DRD/D

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